2009年02月09日

グノー作曲 歌劇「ファウスト」〜トゥレの王(インヴァ・ムラ)

グノー作曲 歌劇「ファウスト」第3幕〜トゥーレの王



アルバニアのソプラノ、インヴァ・ムラによるトゥーレの王です。



昔トゥーレにひとりの王がいました。
生涯を終えるまでたいそう誠実な王でした。
王妃は先立つとき
王にに金の杯をのこしました。

王にとってその杯は何より大切なもので
宴のたびにその杯で飲み干しました。
その杯から飲むたびに
王の目は涙であふれるのでした。

やがて王にも死期が近づくと
王は自分の町や国を数えて
残らず跡継ぎに譲りましたが
杯だけは別でした。

王は王族の宴の席に座して
騎士たちはその周りに居並びました。
それは海を見下ろす城にある
気高き父祖の間でのことでした。

王はやがて立ち上がり
最後に残った命の血潮を飲み干して
その聖なる杯を
潮の中へ投げやりました。

王は杯が落ち、飲み込まれ
海深く沈むのを見ました。
その目は深く閉ざされ
もう一滴も飲むことはありませんでした。
posted by イオ at 00:37| Comment(0) | TrackBack(0) | グノー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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